津元式 究極の血抜き (2) 手順・保存・道具など

津元式 究極の血抜きを行う大前提として、適切に魚を処理しなければいけません。

僕の場合は、魚を釣った際、すぐに脳締め・ワイヤー締め具で脊髄を破壊する神経締めを行い(ヘタなんですがw)、
さらにエラ膜を少し切ってバケツに張った水に入れて振り、できるだけエラが白くなるくらいまで血を抜いてから、
海水氷で全体を冷やして持って帰ります。

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[ おおまかな工程 ]


津元式 究極の血抜きの工程は大きく分けて3つ。

(1) 神経締め

魚の脊髄内の髄液を破壊し、死後硬直を遅らせて、さらに動脈を拡張させることで効率よく血抜きを行う。

また、魚にとってのストレスや無酸素状態で暴れたりする際に発生する「乳酸」の蓄積を抑え、魚のエネルギー源であり、
旨味の元であるイノシン酸を生成すると言われる「ATP」をなるべく減らさないようにする、といった側面もあるよう。

(2) ノズルを用いた血抜き

尻尾付近から背骨腹側に走る動脈へ直接送水し効率よく血抜きを行う。

同付近から分岐する血管への送水効率が高いが、本来の血液の流れる方向(心臓~尻尾)とは逆向きの送水となるので
全ての分岐する動脈へは送水できない。あくまでも工程のひとつ。

(3) 究極の血抜き

エラからホースを入れて、心臓付近の動脈から静脈へ向けて送水し血抜きを行う。

本来の血液の流れと同じ方向なので、末梢の細い動脈や動脈全体に対して効率よく送水ができる。
ただし、動静脈内の水圧が高いほど送水効果が高くなるので、なるべく他の動静脈を損傷しないように処理を行う。

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[ 実際の血抜き手順 ]


実際の血抜き手順はこちら。ただし、自分なりの理解での方法なのでここは適宜調整してください。
確実な熟成のため、酸化・腐敗を防ぐため、基本的には切れ込みなどは最小限にとどめたほうが持ちがよいです。

(1) エラから包丁を入れて心臓付近の動脈を切断する。

(2) 尻尾付近、根本あたりに深めの切り込みを入れる。包丁のカカトを当て上から手でトンと叩いて皮1枚残す感じ。切断はしない。

(3) 尻尾の切れ込み、神経穴と動脈へノズルを入れて送水し神経抜き・血抜きを行う。血液や脊髄内髄液を押し出す~流す感じ。
神経締めした際の頭の穴から血が出ると分かりやすい。

(4) エラからホースを入れ心臓付近の動脈から送水する。その際、エラ部分を手で抑えて圧力を高める形にした方がよさげ。
送水すると魚がパンパンに膨らむ感じになる。と同時に尻尾の切れ込み末端から血が抜ける。
その際、魚によって出てくる水の勢いがよかったり弱かったりするが水が透明になってくれば問題なさそう。

(5) エラを切断する。まず、喉元あたりのつながりを切断し、体側あたりのつながりを切断して取り除く。

(6) 肛門から包丁を入れ、少しだけ切れ込みを入れる。
内臓の終端部分のくっついているところを切断してエラ側からホースで送水しながら内臓を取る。

(7) 竹串を束ねたものなどで内臓膜や残りを綺麗にする。
この時点でまだ血合い付近に血が残っていると思ったら内側~背骨下側へ切り込みを入れてかき出す。

(8) 体表粘液などのヌメりを取る。包丁の背や金たわしなどで鱗と同じ方向へこする。鱗は取らない。



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[ 実際の保存手順 ]


実際の保存手順はこちら。こちらも自分の環境に応じた方法となります。
どれくらい熟成させるかは魚種や状態によって変わりますので、様子を見ながら調整していくとよいと思います。

(1) キッチンペーパーなどで全体の水気を綺麗に拭き取る。内臓側も拭き取る。


(2) ミートペーパー(保鮮シートや新聞紙でも可)で全体を包む。内臓側にも入れておく。
キッチンペーパーだとくっついてしまう。津元式では耐湿紙を使用。


(3) ラップでなるべく空気が入らないように全体を包む。
津元式ではこの工程はないができるだけ酸化を防ぐためにやっている。


(4) 厚手の大きめのビニール袋へ入れて空気を抜く。真空状態に近くなるようにする。
荒巻鮭袋とかがちょうどよさげだがお高いので100均ゴミ袋を使用。


(5) 冷蔵庫へ入れる。その際に下側のみに圧力がかからないようにスポンジなどを敷く。
本来は水に浮かべて布団をかけて保存するが、うちの冷蔵庫にそんなスペースがないので…。
小さめの魚の場合、袋に水を入れたものに包んだ魚を入れて冷やす。


(6) 1~2日おきに魚から出るドリップを拭き取ってミートペーパーを交換する。


(7) 食べる際には再度、体表を洗い流してからさばく。



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[ 割と参考にしている津元式動画 ]


釣った魚を美味しく持ち帰る方法 vol.29

釣り人に向けた処理の復習編(説明を読んでね)vol.64

最近の究極の血抜き vol.52

プロ制作!津元式究極の血抜き 葡萄カンパチ編vol.65

植田益生さんが、究極の血抜きの勉強に来た編vol.104 石鯛バージョン

究極の血抜きからの究極の処理 クエ編 vol.18

釣った魚の究極の保存《其の壱》vol.25 丸のまま保存する

その他、津本式 究極の血抜き 動画

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[ 道具について ]


必要な道具に関しては、専用のものが公式サイトで販売されていますが、あくまでも持っていれば、
より正確に効率よくやりやすいという感じなので、ホームセンターなどで売っている代替品でも作業は可能です。

僕の場合、実際に代替品を使用しており、5,000円以内くらいですべて揃いました。
現状、特に問題はないのですが、やっぱりそのうち津元式の専用道具を買いたいなーと思っています。


絶対に必要な道具:

(1) 水道分岐コネクタ – 800円~3,000円程度

これがないと始まりません。水道の形状によってつけられるものが変わります。
また、いくつ分岐させるかなどでも変わってきます。蛇口自体を分岐させてもOK。
僕は2分岐(1つはシャワーのタイプ)にして、ホース側を付け替えています。



(2) ホースジョイント – 200円~1,000円程度

分岐コネクタにつなぐためのジョイント。分岐の数に応じて必要。
僕は長ホース用・短ホース用・ノズル用で3つのジョイントを使用しています。



(3) 耐圧ホース 15mm – 500円~2,000円程度

ノズル継手が基本内径15mmで、水圧がかかるので耐圧必須。好きな長さにカットして使う感じです。
エラからの血抜きの際には、切り口を斜めにしておくと使い勝手がよいです。



(4) ホースバンド – 100円~800円程度

ノズル継手とホース部分の接続で使用します。



津元式の専門道具:

(1) ウォーターシューター – 8,640円

内径15mm対応。水専用で開発。ノヅルφ1.8と短い継手が標準でついている。

(2) 津元式ノヅル φ1.1 / φ1.5 / φ2.0 / φ3.0 / φ4.0 / 4種セット – 5,400円~25,380円

各種ノズルの先端部分。サイズ違い。

(3) ハイパー継手 – 5,832円

ホースとシューターの間にかませるもの。ノヅル以外の道具を簡単に交換することができる。

(4) 小物用高圧ノヅル – 4,860円

ノズルの先端部分。小物用。あったら便利なもの。

(5) 血合いウロコ取り – 16,740円

ハイパー継手と接続可能。ホースにつないで水を流しながら使える。あったら便利なもの。

その他商品はこちら


代替可能な道具:

(1) ロケットダスター+ニードル – 1,000円~2,000円程度

ノズルはこちらで代替可能。差し替え可能なニードルは4~5種類くらいで1,000円~2,000円程度で売っています。



(2) 血合い取り

竹串をたばねたもの、歯ブラシ、などで血合いを掃除することができます。



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こういった血抜き手順・保存手順・道具で、津元式 究極の血抜きを行うことができます。

文字にすると膨大な気がしますが、実際の作業としては、血抜き・保存もそれぞれ5~10分程度くらいかと思います。
今度、一連の処理を録画して客観的に見てみたい。

道具の用意や慣れるまでは大変だと感じるけど、やってるうちに慣れてしまうので、
釣ってきた魚をより美味しく食べたいという方は、一度、代替品で試してみてはいかがでしょう。

津本さんは動画で、ノズル無しでエラからホースを入れて送水するだけでも血は抜けると言っているので、
もっと安く簡単にまずは試してみるというのであればそちらからでもよいかもですね。




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