なぜお盆は海に入ってはいけないのか、の海難データを検証してみた

以前、なぜお盆は海に入ってはいけないのか、という記事を書いたのですが、

実際の海難データはおおよその形で予測することしかできなかったので、その後もずっと気になっていました。

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なぜ、お盆は海に入ってはいけないのか、が知りたいのかというと、主な理由は3つ。

(1) 自己防衛のため

毎日とかの頻繁ではないにしろ海に出る以上、明らかにやばい時期とかがあるなら知りたい。死にたくない。

(2) 迷信に根拠があるのか知りたい

もう21世紀だし幽霊たちのせいにせずにデータを検証すれば、はっきりさせることができるのではないか。

(3) 注意喚起のため

どうにか調べられたら、釣り人・マリンレジャーを楽しむ方全般にデータを提供して、海難を減らすことができるのではないか。

と、他にも細々ありはしますが、大きな理由としてはこういう感じですね。

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とりあえず、検索を続けてもなかなかデータに結びつかないし、何とか調べられないかなーと考えた結果、

海難データを出している、警察庁と海上保安庁に直接問い合わせをすることにしました。

ただ、どちらもとても忙しいと思われますので、なるべくなるべくご迷惑をおかけしないように、

聞きたいことをあらかじめ決めて、5分以内を目安に簡潔に目的を告げて、データの有無・提供の可不可を確認します。

とりあえずは、断られたら一旦は諦める、というスタンス。


[ ほしいデータ ]

・ 日毎の海難データ

場所、時間、人数、状況、結果など、ショア・オフショア問わず、できる限りの詳細がわかるもので、可能なら10年分ほど。


[ 聞きたいこと ]

・ 海難の日毎のデータが存在するか

・ 存在するならどこに公開されているか

・ 存在はするけど公開されていないものなら提供してもらうことは可能か


まずは、警察庁へ問い合わせ。

今回のような種類の問い合わせは広報課へまわされるようですね。

結果は「海難の日毎データは存在しない」とのこと。印象的にはすごく冷淡な対応で取りつく島もない感じ。

まあ忙しいと思いますし、ご迷惑をおかけすることはできないので諦めることに。


次に、海上保安庁へ問い合わせ。

広報(だったはず…)にまわされた後、交通安全対策課につながり、海難調査官という肩書の担当の方と話すことができた。

結果は「海難の日毎データは存在する」が、一般の方への提供は業務を圧迫する恐れがあるのでお断りしているとのこと。

なるほど。そりゃそうですよね…。

ただ、担当の方にはすごく丁寧に対応していただき、課内?とかで検討してもらってからのご返答をいただきました。

そして、後日、希望するデータは提供できないが、以前、海保で公開していて現在は非公開になっている、

2014年~2016年のプレジャーボートのみの7月・8月の3年分の日毎のデータなら提供することができるということで、

PDFデータをいただくことができました。ご対応に感謝。

決まりは決まりなのでしょうがないのですけれども、とても柔軟な対応で、

海保として、海難を少しでも減らそうとしているんだなーというのがひしひしと伝わってきました。

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そして、いただいたPDFデータがこちら。

公開しても問題ないということでしたので興味のある方は下記よりダウンロードしてくださいね。

海上保安庁:プレジャーボートの日別事故発生状況(2014年~2016年・7月~8月・件数のみ)

※データは「プレジャーボート」の記載ですが、確認したところ、2馬力船外機等を搭載している「ミニボート」などの動力船、

また、カヤック・カヌー・手漕ぎボートなどの無動力船も含まれるとのことです。漁船などは含まれません。

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本来いただきたかったデータよりも限定的ではありますが、

もらえないものはしょうがないので、とりあえず、いただいたデータで色々と検証してみる。

データを年毎、月毎にバラして、全体的に、平日・土曜日・日曜日・週末・祝日、で詳細な数値を出して平均を取る。

8月は、お盆があるんだけど、新暦の月遅れ盆・旧暦の盆、を設定して、こちらも詳細な数値を出して平均を取る。

それを3年分で比較するとある程度は何かわかるのではないだろうか。

ということで、新たにグラフを作ってみた。


プレジャーボートの日別事故発生状況(2014年~2016年・7月~8月):海上保安庁データ参照




検証の前提としては、以下の4点。

※データは「プレジャーボート」の記載ですが、確認したところ、2馬力船外機等を搭載している「ミニボート」などの動力船、

また、カヤック・カヌー・手漕ぎボートなどの無動力船も含まれるとのことです。漁船などは含まれません。

※2014年~2016年の3年間、7月と8月の2ヶ月のデータのみを参照しています。

夏季は件数が増える傾向にありますし、年間でみると統計というにはちょっと振り幅が大きいかもしれません。

※祝日は週末に含めずに純粋に土日のみを週末として計算しています。

※新暦の月遅れ盆は、8月の13日~16日の4日間とし、その他の盆休み等は考慮していません。

地域によっては、盆の日にちが若干ずれているかも。旧暦にはズレはありません(多分)。

あと、単純に計算が間違っていたらすみません…。


このグラフからわかることは、こんな感じでしょうか。



さらに詰めて考えると、こういうことが言えるのではないでしょうか。



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週末は発生率高いだろうなーとは思っていましたが、数値化してみると、

ひと月の総発生数の半分程度~半分以上が週末になっていました。ここまで高いとは。

その中でも日曜日・祝日が断トツに高い。


そして、1番知りたかった、お盆期間の発生率については、かなり高めということがわかりました。

7月・8月の夏季が1番発生率が高いそうなので、他の月も入れた場合、もっと割合は高くなるんでしょうね。

ちなみに新暦の月遅れ盆でも旧暦の盆でも、平均的には3日目が1番発生率が高かったです。

また、お盆期間の前後数日もわりかし発生率が高いようでした。


さらに7月・8月は夏休みの時期になっていますので、各月を前半・後半に分けた形で数値化してみましたが、

7月の海の日ちょい前あたりから8月の半ばまで、とても発生率が高くなっていました。

プレジャーボートに乗る人に夏休みって関係あるかな?それとも台風シーズンだからだろうか?

人が多い時期には比例して海難も多くなる、というのはわかりますが何か痒いところに手が届かない感じ。

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と、こんな感じで素人的に検証をしてみましたが、細かく数値化してみると

案外、考えてた以上、思ってた以上に海難って身近に起こり得るものなんだなーと感じました。

プレジャーボートだけみても、平日・週末等を含めても平均で1日に1件は起きている、

そう考えるとこれまで以上に安全な釣行を心がけないとなと思います…。

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今回いただいたデータは、7月・8月だけの件数のみ記載で3年分のプレジャーボートのものでしたが、

さらに詳しい場所、時間、人数、海難状況、原因、船舶の種類など、

また、釣り・遊泳・サーフィン・ダイビング・水上オートバイなどのマリンレジャー活動内容別で、日毎で10年分以上、

可能であれば、天候データとも照らし合わせることができれば、もっと何かわかりそうですね。


海上保安庁の海の安全情報ウォーターセーフティーガイド、また、その中の「海難の現況と対策」などには、

かなり詳しい海難のデータが公開されていますが、なかなか日毎とか地域ごととかの細かいデータはないんですよね。

(僕がみつけられないだけだったらすみません…)


そこらへん、もっと詳しい統計で、わかりやすく、

xx地域のxx月頃のxx日頃のxx時頃のxxな天気の時にxxすると事故率が高い、みたいなピンポイントな情報(予測)が出せたら、

さらにリアルに考えることができて、海への備えももっと万全になりそう。

もちろん、簡単ではなさそうだけど、近いことはどうにかできそうな気がする。


CSVでもいいし、なんなら整形していないPDFのままでもよいので、そういったデータを公開だけしてくれたら、

勝手に統計を取る人・インフォグラフィック等を作る人はたくさんいると思うので、ぜひ、データ公開だけしてほしいな…。

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今回、作成したグラフですが、もし、使用したい方がいらっしゃいましたらご自由にどうぞー。

プレジャーボートの日別事故発生状況(2014年~2016年・7月~8月):海上保安庁データ参照


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また、引き続き、データを探したりしてみて検証したいと思います。




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