2019年9月23日午前、残波岬灯台付近で転落死亡事故が起きました。
死亡したのは県内在住の54歳男性。所持品などから釣りに来ていたと思われますが何らかの原因で転落したとみられています。
午前9時頃「釣り人らしき人が岩場から落ち水面にうつぶせの状態で浮いている」と消防に通報があったようで、
その後、那覇海上保安部のヘリコプターで引き揚げられ、意識不明・心肺停止の状態で豊見城市内の病院に運ばれましたが、
午前11時頃、死亡が確認されたということです。
転落した原因や誰と来ていたかなど不明な点が多く、警察や海保が捜査を進めています。
事故当時、天気はよかったものの波は高かった模様。
釣り人の痛ましい事故、ご冥福をお祈りいたします。
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残波岬と言えば、高さ30m前後の断崖絶壁が約2kmも続いている県内有数の景勝地です。
その地形から海岸線は人工化しておらず、珊瑚礁・礁湖(イノー)が残り、海の生態系がとても豊か。
アーラミーバイ・オーマチ・タマン・ガーラ・シルイチャー・カツオ・シイラ・マグロ・サメなどなど、
沖で釣れるような魚もいるということで、エサ・ルアー・ジギング問わず人気の釣り場になっています。
地図でみるところの灯台から右側・左斜め前側・左側あたりが灯台付近の釣りポイント。
しかし、足場はすべて珊瑚礁が隆起してできた切り立った岩場、海面まで数m~10m程度というかなり危険なポイントでもあり、
荒磯の部類で上級者向け。さらには台風前後はもちろん、うねりがある日などにも高波が起きやすく、
大きい時には灯台にも波がかぶるほどです。
また、記念碑とともに残波の大岩というものがあり、1990年10月6日に来た台風21号の大波によって、
94t・85t・50tの大岩が動かされたという記録が残され「自然の力をあなどるな!!」との碑文があります。
94tってどんな重さなのか比較対象の想像もできません…。
体重60kgの人が1567人くらい一気に動かされる感じ?こわすぎる…。
ここは定期的に事故が起こっており、2012年9月30日には、釣り人が大波にさらわれる瞬間が撮影された動画が話題になりました。
流された方は、海保により捜索されましたが死亡しています。この時も台風の影響で波が高い状態だったようです。
時期的にも海況的にも今回と似ているような気がします。
上記の動画は現在、閲覧不能になっておりますが、一応、こちらにはまだ残っているようです。※閲覧注意
これを観たら波が高い時に釣りに行こうと思う人はいなくなるのではないでしょうか…。
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という感じで、とにかく残波岬付近は上級者向けの危険なポイントです。
しかし、魚影が濃く、釣り人としてはそういったポイントに行きたい!という気持ちはすごくよくわかります。
では、事故に会わないようにするために、事故を起こさないためにはどうしたらよいか。
まずは、釣行の際、家族などに行き先や帰宅時間の目安などを告げておく。
それから、単独行動をしない。特に慣れないポイントへ行く場合などには、上級者との釣行が好ましいと思います。
また、台風前後・高波・強風などの天候・海況をしっかり判断して、少しでも危ないかも?と思ったら釣行を中止する。
あとは、荒磯などの場合、落水の可能性は少なからずあるので、必ずライフジャケットを着用する。
携帯電話などは防水ケースに入れ、もし、何かあった際には118に通報できるようにしておく。
他にも対策は考えられそうですが、最低限、これだけは確実に守って安全な釣行にしたいですね。
最近は、スマホ防水ケース付きのライフジャケットもありますし、
ベストタイプが邪魔くさいという人は、肩掛けタイプでもいいですし、
肩掛けタイプも動きにくいということであれば、腰巻きタイプも選べますし、
釣具屋さんなどに行けば、比較的安いゲームベストも売っていますし、
ショアでもオフショアでも必ずライフジャケットを着用し、 海の事故、釣りの事故が少しでも減ってほしいなと思います。
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残波岬の名前の由来として、断崖絶壁を超えてきた大波が岩場に残ることから「残波」と言われるようになった、
ということを耳にしたことがあるので調べてみましたが、きっちり由来が書かれている書籍・文献が見つけられませんでした。
一応、「角川 日本地名 大辞典 47 沖縄県」・「沖縄大百科辞典」によると、昔から「ザンパミサチ」「ザンパ美崎」などの
名称にはなっているようで、古典「上り口説(ヌブイクドゥチ)・下り口説(クダイクドクチ)」などでも
「ざんぱみさち」と歌われているようです。
古典「上り口説(ヌブイクドゥチ)・下り口説(クダイクドクチ)」は、
1609年の薩摩藩の琉球侵攻以降、1634年から行われていた「江戸(京都)上り」の旅の様子が歌われたものなので、
恐らくは、江戸時代あたりから「ざんぱ」の名称はあったみたいですね。